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キャンビー開発秘話

先代のキャンビーが販売終了して1年半、

たくさんの方から「新型はまだ?」とのお問い合わせとプレッシャーをいただきました(笑)。

時間はかかりましたが、私たちは遊んでいたわけではありません!

開発に係わるスタッフの、苦悩と葛藤の日々を少しだけお教えします。

※以下の内容は2013年のキャンビー2開発時のものです。




新型キャンビー開発スタート


先代のキャンビー(スバルサンバーがベース車の初代)の販売が終了したのが2012年2月。
全てのお客様に納車を完了したのが同年8月。
その後、新型キャンビーの開発に入るわけですが、予定は延びに伸び、結局丸1年かかってしまいました。

それというのも、先代キャンビーの完成度が高かったからであり、
手前味噌ながら、よくあんなクルマを100万円で作ることができたもんだと
他人事のように感心してしまいます。

新型キャンビーの開発ですが、大まかなコンセプトは先代から変更ナシ。

「最高のキャンピングカーを最低の価格で」

具体的には、以下の通りです。

@とにかく低価格。(できれば先代から価格アップしたくない)
A電気がたくさん使える。
B外観を変えない。(外から見れば、ただの軽自動車)
C税金/維持費が安い4ナンバー(貨物)のままで、車検が通る。
D室内を広く、快適に。


先代キャンビーは、一番安いグレードは100万円(税抜き)でした。

電気も、軽自動車としては最大級の1000ワットまで使うことができましたので、
電気ケトルでお湯を沸かしたり、ご飯を炊いたり、朝まで電気毛布を使うこともできました。

外観は普通の軽バンでしたし、車検も問題なく通ります。

何より、室内の広さは特筆もので、180cmの男性でも真っ直ぐにゆったりと眠ることができました。
そして、いたるところに断熱材を入れることで、
寒さ暑さはもちろん、防音に関してもベース車を大きく上回る性能を備えていました。

さらに、ベース車のサンバーが非常に優れた資質を持った車だったので、
走りを含めた総合力は、軽キャンパーの中でもトップクラスだったと自負しています。

私たちは、新キャンビーを作るにあたり、ひとつの目標を掲げました。

「全ての面で先代を超える」

そして、意気揚々と新キャンビーの開発に入ったのです。




先代を超えることがこんなに難しいとは!


開発が始まって1ヶ月、ベース車は三菱のミニキャブに決定しました。
決め手は室内の広さ。
他の車種は狭すぎて、先代を超えることができませんでした。

三菱のミニキャブには、日産のクリッパーという双子車が存在します。
三菱が日産にOEMで提供しているもので、基本的にボディーは同じです。
ふたつのメーカーから選んでいただけるのも、お客様にはメリットがあると思いました。

その後、仕様を決定していくのですが、これには骨が折れました。
先代の継承をする部分。グレードアップする部分。思い切って変更する部分。
これらを一つ一つ検証し、決定していきます。

コストの面も重要でした。
お金を掛ければ、いくらでもいい部品や部材は手に入ります。
ですが、車両価格が上がってしまえば、それはキャンビーではありません。

低価格で使える軽キャンパー、それがキャンビーなのです。

煮詰めていくと、新型キャンビーの装備は、先代と同じ様な仕様になっていきました。

お客様にはご好評をいただいておりましたし、低価格軽キャンパーの装備として、
先代キャンビーは完成の域に達していたので、特に変える必要はないとスタッフ全員が思っていました。

ただ、ベース車が変わってしまったことにより、床下収納が無くなってしまったり、
グレードによっては完全フラットにならなくなったりと、
全体での完成度が下がってしまっているのも事実でした。

このことは、スタッフ全員が感じてはいましたが、ベース車によるものなので、
どうしようもないことだと諦めていました。

「お客様に、前のクルマとどっちがいいの」って聞かれたらなんて答える?
あえて意地の悪い質問をしてみると、みんなは口をつぐんでしまいました。

このままではお客様に胸を張ってお薦めできない。

私たちは、「先代から劇的に進化した部分」「圧倒的な優位性」を、新キャンビーに付け加えるべく、
困難な道を選択することにしました。



新キャンビーの目玉、決定!


軽キャンパーを購入したお客様が、一番欲しくなる装備。
あったら一番便利な装備とは、一体何なのでしょう?

みなさんもお考えになってみてください。

そうアレです(笑)。

電子レンジです!

実は、電子レンジこそ、キャンピングカーに付いていたら一番便利と言われている装備なのです。

電子レンジがあれば、お弁当やレトルトご飯を温めたり、調理パンやおにぎりも熱々にできます。
寒い冬の朝は、絞ったタオルをチンすれば、熱々の蒸しタオルができますし、ホットミルクも簡単に作れます。

100円コンビニの冷凍食品も節約にはもってこいです。
100円でチャーハンからグラタン、焼きそば、スパゲティーまで何でも揃っています。

電子レンジがあれば、キャンプ中の食生活もずいぶんと豊かなものになることでしょう。

新型キャンビーの目玉!

それは、電子レンジ標準搭載!

これしかありません。

私たちの目標は、満場一致であっさりと決まってしまいました。



禁断の果実!?


目標は決まりましたが、実現方法に関しては、誰もわかりませんでした。

というのも、軽キャンパーで電子レンジ標準搭載というモデルは前例が無く、
ほとんどのビルダーが諦めていた装備だったからです。

実は、軽キャンパーにとって電子レンジは、非常に相性の悪い、
『禁断の果実』と呼ばれている装備なのです。

まず電気の問題。
最近の電子レンジは高出力化が進み、消費電力も非常に大きくなっています。
先代のキャンビーは、軽自動車としては異例の1000ワットの電気を使うことができました。
でも、それでも電子レンジを使うには心許ないものでした。

まず消費電力が1000ワット以下の電子レンジがほとんどありませんし、
しかも起動時にかかる電力は消費電力の1.5倍〜2倍。

実際、電子レンジでインバーターを壊してしまうお客様が複数いらっしゃいました。

ヤフオクなどで、昔の消費電力が低い機種を探して車載する方もいらっしゃいましたが、
必ずトラブルに見舞われ、数回使っただけで諦めてしまうことが多かったようです。

そして、スペースの問題。
電子レンジは小さいものでも幅が40センチ、奥行きが30センチ以上はあります。
ただでさえ狭い軽自動車に搭載するとなると、かなりの制約・犠牲が必要になります。

走行中は床に置いておいて、キャンプ中はギャレーに載せて使うというやり方もありますが、
やはり面倒くさくなってしまうようです。

この様な理由で、「軽キャンパーに電子レンジ」というのは非常にやっかいな存在なのです。



 電子レンジは家庭用に限る!


車載用電子レンジという商品があります。
12ボルトのシガープラグでも使用でき、消費電力が小さく、ボディーもコンパクトです。
軽キャンパーに車載するには、まさにうってつけと言えるでしょう。

新型キャンビーにも、これを搭載しようという案もありました。
この商品なら、何の問題もなく簡単に軽自動車に載せることができます。
実際に装備品としてラインナップさせているキャンピングカー会社もあるようです。

ですが、欠点も数多くありました。

@加熱ムラが大きい。
A温めに時間がかかる。(家庭用電子レンジの2倍から3倍)
Bドアにガラス部がないので、内部の確認ができない。
C庫内が小さく、コンビニ弁当などが入らない。

特にCは致命的でした。
小さな皿などに移して、小分けに加熱すればよいのかも知れませんが、
それでは洗い物も増えますし面倒です。

やっぱり本物の家庭で使っているような電子レンジを搭載したい。

私たちは、この高いハードルに立ち向かう決心をしました。



立ちはだかるたくさんのハードル


電子レンジ搭載に当たって、まず最初に私たちを苦しめたのは、取り付け場所でした。
真っ先に思いついたのはギャレーの上に設置すること。
先代キャンビーはギャレーの左端にシンクがあり、その右側が空いていました。
そこに載せてしまおうという案です。

実際にギャレーの上に電子レンジを固定し、走行してみました。
すると、リヤウインドウが電子レンジで塞がれてしまい、視界が悪い。

さらに、段差を通過する際に電子レンジ内部のガラス製回転テーブルが外れ、
庫内にぶつかって欠けてしまいました。

駐車して食事の用意をすると、今まで調理台として使えていた部分に電子レンジが載っているため、
キッチンの使い勝手が非常に悪いこともわかりました。

これでは、電子レンジを搭載する意味がありません。

次に考えたのが、ギャレー(キッチンユニット)の中に組み込んでしまう案。
これはすぐに設計からNGが出ました。

キャンビーのギャレーの中には、サブバッテリーやインバーター、走行充電システムや水のタンクまで、
ほとんど隙間無く詰め込まれています。

ギャレーが付けられるのは、リヤシートの後方部分で、
スペースにすると幅80センチ×高さ60センチ×奥行き30センチ程度のスペースしかありません。

「最低でもギャレーの高さを80センチ、奥行きを40センチにしないと、レンジを入れるのは無理」
「そんな高さじゃあシンクが使い辛いし、電子レンジを付ける意味がない。
 だいたい寝る場所が狭くなってしまう」

喧喧諤諤の議論の末、譲れない条件を決めることにしました。

@ギャレーの大きさは変えない。
A電子レンジはコンビニ弁当が入るフルサイズのもので、最低でも500ワットのあたため能力がある。
Bレンジはガラス製の回転テーブルではない機種に。できればフラットな庫内。
Cギャレーの天板には何も置かず、調理台として使えるようにする。
Dギャレーの中には、今まで通りの機能を全て納める。
E電子レンジの採用に合わせ、電気容量を増やす。1.5倍〜2倍程度に。

この条件がまとまったとき、スタッフの誰もが無理だと思ったそうです。

ですが、方針が決まったことにより、全員が吹っ切れたように、実現に向けて走り出しました。



オールニューキャンビー完成!


元々弊社『アウストラ』は、商品ラインナップがキャンビーだけの会社です。

キャンビーがないのですから、当然ながら開発中は収入ゼロ。
柿の木坂のショールームも、修理やメンテナンスの為だけに開けているような状態でした。

でも、中途半端な商品を出したくはないし、何よりもお客様には「最高の軽キャンパーです!」と、
胸を張ってお薦めしたい!


試行錯誤に試行錯誤を重ね、ひとつひとつ問題を解決していきました。

電子レンジ本体は、温め能力600W、ターンテーブルのない機種をチョイスしました。
扉も下開きにすることで、狭い車内での使い勝手も向上しました。

電子レンジをギャレーに埋め込むにあたって、採用したのが「金属フレーム構造」です。

初代のキャンビーはギャレー部が木組みでできていました。
板と板とをアルミのアングルで固定するやり方で、キャンピングカーではオーソドックスなものです。

ですが、新型は極限までギャレーを小さくする必要があったので、中板の厚さすらも見直す必要があり、
結果、金属フレームに行き着いたのです。

ギャレー内部に鉄のフレームを入れることにより、
重さを変えることなく、強度とコンパクトさを格段に向上させました。

これにより、電子レンジを搭載しておきながら、ギャレー前部の幅は103cmと、
先代よりも3cmも広くすることができたのです。

インバーターも1800Wのものを採用致しました。
115Aのサブバッテリーと組み合わせ、軽キャンパー最大級の電気設備を手に入れました。


このように一年かけて、私たちは全ての条件を満たす新型キャンビーを完成させたのです。

ついに新型キャンビーは先代を超えました!